創業後の人材の雇用・育成のポイント

会社を創業・起業・独立して、初めての従業員の採用。
いつ、採用をすればよいのでしょうか。
そして、創業まもない企業が、どのように人材を採用、育成していけばよいのでしょうか。
創業後の人材を確保・育成するポイントを解説していきます。

事業が軌道に乗る(=売上が安定する)までは、従業員の給料を継続的に支払う見込みが立たないため、最初から従業員が必要な業種以外は、初めは役員のみのマンパワーで経営するのが一般的です。
では、いつ採用するかどうかの判断をするとよいのでしょうか。
まずは、従業員を採用するかどうかの判断事項を整理します。

1 従業員を採用するかどうかの判断

従業員を採用する負担(デメリット)は何でしょうか? 従業員を雇用する場合、責任が伴います。 

①売上増減に関わらず給料が発生しますし、給料以外にも社会保険等の保険料が発生します。

<社会保険加入義務>

②また、会社の都合で従業員を解雇することはできません。 

③従業員の雇用に関連した手続きや教育に時間を要します。
 
これらの負担をふまえて、今従業員を採用するメリットが上回るかどうかを検討するために、採用する目的を明確にしてみましょう。

(1)現状のマンパワー不足解消のため

初めは役員のみですべての業務をこなしており、今、一時的に本業に時間をかけられれば、さらに売上につながるものの、マンパワー不足というケースがあります。
業務を切り分け、汎用的な業務におけるマンパワー不足の場合、雇用を考える前に、外部を活用する案があります。
・アウトソーシング(外注)
委託契約(継続的)経理代行等
業務請負契約(単発的)ホームページ制作等、クラウドソーシング
・人材派遣
があります。

(2)将来のマンパワー確保のため

従業員を雇用するメリットは、仕事の受注範囲のキャパシティーが拡大し、受け皿が大きくなることです。
本事業を拡大していくためには、従業員雇用は必要です。

2 求人前の準備

従業員の雇用を決めました。
これから、求人するにあたり、何を準備すればよいのでしょうか。

(1)経営理念、企業情報の整理

求職者は求人企業のホームページを必ずチェックします。
ホームページから、働きがいや職場の雰囲気が感じられると、求職者の求人企業への魅力は高まります。
また、経営理念や企業情報をより多く掲載することによって、ミスマッチを未然に防ぎます。

(2)労働条件の整理

雇用形態(正社員、契約社員、パート、アルバイト等)、労働時間や勤務日数、仕事内容、給与額等の労働条件を決めます。
労働基準法で雇用契約書に明示すべき労働条件が定められています。雇用契約書と同じ労働条件を求人票で提示します。
また、性別を限定する求人、年齢を限定する求人(一部例外あり)、最低賃金以下の求人は法律で禁止されています。
これらの雇用に関するトラブルを防ぐためにも、違法性がないか、よく確認する必要があります。

(3)教育方法の整理

採用後どのように教育されるのか、教育後の到達イメージは何か、をあらかじめ整理し、ホームページに掲載することにより、求職者は働くイメージができ、安心できます。
また、人材育成制度を導入する場合は、助成金対象になる可能性がありますので、厚生労働省の最新情報で確認しましょう。

3 従業員の採用方法

採用の流れは、求人募集→求職者からの応募→選考→採用 になります。

(1)求人方法

大きく分けて5つあります。
それぞれにメリット、デメリットがありますので、どれか、もしくは組み合わせを検討しましょう。

①ハローワーク(公共職業安定所)
<メリット>
・掲載無料
・求人情報最多
・求職者に見てもらいやすい
・条件により助成金対象になる
<デメリット>
・他の求人手段と比べて、求人側の情報量に制限がある
・手続きに手間がかかる

②求人誌(紙媒体)
<メリット>
・配布エリアを加味した求人が可能
・求職中でない人の偶然目に留まる場合がある
<デメリット>
・採用に至らなくても費用がかかる
・金額に応じ、求人側の情報量に制限がある

③ネット求人(web媒体)
<メリット>
・求職側の応募が24時間受付可能であるため、応募しやすい
・若年層に見てもらいやすい
・情報量制限がないため、職場の雰囲気までもわかりやすく伝えられる
・求人対象層(主婦層、学生層、転職層、職業別層、パート・アルバイト層など)ごとに得意なネット求人が存在するので、対象に直接訴求しやすい。
<デメリット>
・web求人の課金には、掲載課金型と採用成功課金型がある。
掲載課金型は、採用に至らなくても費用がかかる。
採用成功課金型は、採用数に応じた課金になるため、求人数が多いと掲載課金型より割高になる。

④紹介
<メリット>
・採用の費用、手間がかからない
・公募に比べ、知人紹介は人柄を把握しやすい
<デメリット>
・紹介者との関係によっては、対応に気を遣う

⑤自社ホームページ
<メリット>
・自社の経営理念、企業情報等情報量を多く提供できる
・掲載期間無制限
・状況に応じて更新が可能
<デメリット>
・知名度のある求人サイトを見る人に比べて、自社ホームページを直接見に来る人は少ない
・メンテナンス費用がかかる
・求人条件に違法性がないか自社でのチェックが必要
(他の媒体は違法であれば掲載されない)

(2)選考方法

求人募集をした結果、求職者からの応募がありました。選考はどのように進めていくのでしょうか。
選考方法には、書類(履歴書・職務経歴書)、面接、実技があります。
選考方法が増えるほど、求職者の応募に対するハードルが高くなります。
しかし、創業後初めての採用は、今後の事業の成長に影響しますので、どの選考方法を取り入れるか、選考基準を決め、慎重に選考しましょう。

<書類>
応募者の、職務経歴、学歴、応募理由、特技、趣味、自宅からの通勤時間、等の情報が得られます。
<面接>
応募者とのコミュニケーションを通して、応募者の人物像が見えてくると同時に、面接企業側の情報も発信していることになります。面接官に差別の意図がなかったにしても、応募者に聞いてはいけない質問(応募者本人に責任がない情報、思想の自由に反する情報、セクシャルハラスメントに関する情報)により基本的人権を侵害しないよう、注意が必要です。
<実技>
実技を取り入れる企業は少ないですが、応募者が事業のコアとなる技術をもっているかを確認する場合に有効です。

4 人材の育成

先に述べました「教育方法の整理」に沿って教育していきます。実際に仕事を教えるポイントはあるのでしょうか。
少人数の場合はとくに「いちいち伝えなくても、知っているはず、わかってくれているはず」という思いに陥りがちです。その思い込みが教育を阻害します。人を育成するという意識は必要です。
すべての仕事は経営理念、経営目標に向かっており、仕事には目的はあります。どのような目的でこの仕事をするのか、を伝えながら仕事を教えることは、結果的に、自社の経営目標を浸透することにつながります。

 

文責:マネージャー 福田 有子

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